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 大利根博士の秘密室に、点々と床をよごしている血のあと!
 一彦少年はびっくりしましたが、その血の点々がどこへつづいているのかと、それをたどっていきますと、やがてそれは奥まった室の隅《すみ》のところで、とまっていました。
「塩田大尉、血はここでとまっていますよ」
「なるほど、これから先は、どこへいっているのだろうかなあ」
 二人は、その室の隅をいろいろとさがしてみました。するとその壁の一番隅っこに、一銭銅貨を五つ並べたぐらいの大きさの、お猿の面がはりつけてありました。
「おや、こんなものがありますよ」
「どれどれ。ほう、お猿の顔の彫《ほ》りものらしいが、このがらんとした部屋には似あわしからぬ飾りものだね」
 そのお猿の面は、鉄かなにかでできていました。
「一体これはなんでしょうね」
 一彦は、お猿の面をいじってみました。ひっぱってみましたが、とれません。しかし、横にひっぱってみますと、お猿の面がうごきました。そして下から、思いがけなく鍵穴があらわれました。たいへん大きな鍵穴でありました。
「おやおや、こんなところに鍵穴がありますよ」
 塩田大尉も、そこへしゃがんで顔を前へつきだ
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