をかがめて、床をなめんばかりにして見てあるいています。すると彼は、床の上に、黒ずんだ点々が、ぽたりぽたりとついているのを発見しました。
「あっ、へんなものが――」
 と一彦がさけぶと、塩田大尉は、すぐとんで来ました。
「なんだ、一彦君。へんなものって、なにかあったのかね」
「ここにあるんです。黒ずんだ点々が、ずっとむこうまでつづいています」
「ほう、これか」
 と、塩田大尉は床にしゃがみ、その黒ずんだ点々の一つを指先でつぶしてみました。
 それは、ぐちゃりとつぶれました。そして赤黒い汁が、わずかとびだしました。
「ふん、これは怪しいぞ」
 塩田大尉は、指のさきを鼻のさきにもっていきました。ぷうんと、生ぐさいにおいが、塩田大尉の鼻をうちました。
「あっ、これは血だ。血のにおいだ!」
「えっ、血ですか」
 さあ、たいへんなものを見つけました。大利根博士邸の秘密室にこぼれていた古い血だまりは、一体なにを語るのでしょうか。
 大利根博士は、どこへ行ってしまったのでしょうか。この血だまりのあることを知っているのでしょうか。
 塩田大尉と一彦とは、しばらく無言で顔を見あわせていました。

    
前へ 次へ
全352ページ中214ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング