るのは、例の波のたかい荒海ではなく、真白な砂浜でありました。飛行機は、片車輪を砂のなかにふかくつきこみ、斜にかしいでとまっているのでありました。
一体ここは、どこなのでしょう。
とにかく、すんでのことに飛行機もろとも怒濤にのまれ去るところでしたが、それだけは助ったようです。
たぶん小浜兵曹長は、嵐のなかに全身は綿のようにつかれ、目はかすみ、耳はがーんと鳴りつつも、あくまで軍人精神で、
(なに、これしきのことで、へたばってたまるものか!)
とみずから気をひきたて、無我夢中に着陸をしたものと思われます。
そこは砂浜とはいえ、やはり大地のことですから機体が砂丘のかげにどんとうちあたるなり、兵曹長はそのはげしい反動でもって、はっとわれにかえったらしいのです。
だが、危かった勇士の一命が助って、たいへん幸《さいわい》なことでありました。
小浜兵曹長は、雨にたたかれながら、座席のバンドをはずして立ちあがりました。
(一体、ここはどこだろう)
頭の中には、鳥がさえずっているように、ぴーんと高い音がしています。思うようにまわらぬ首を無理やりにうごかして、あたりをながめていた兵曹長の眼底
前へ
次へ
全352ページ中205ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング