たいへんひろいですからねえ、コンパスを見ても、方角はわかりますが、自分が今いる場所まではわかりかねます。こういうときには、無線ビーコンというものを受信すると、ちゃんと今いる場所がわかるのです。無線ビーコンは、無電灯台というところから、その灯台の名を無電で送っているものなのです。
 小浜兵曹長は、うしろの座席にある受信機のスイッチをいれました。そして受話器を、耳にあててみました。
 ところが、いつまでたっても、受話器からはなんの音もはいって来ません。
「これは変だなあ。スイッチはちゃんとはいっているのに、なぜ聞えないのだろう」
 いろいろとやってみましたが、どうしても聞えません。ざんねんながら、受信機は故障になっていることがわかりました。
「さあ弱った。今どこを飛んでいるんだか、さっぱりわからなくなったぜ」
 送信機の方はどうかと思いこの方にスイッチをいれてみましたが、やはり働きません。無電機械は、送受とも利かなくなってしまったのです。
 そのうちにも、あたりは夜のようにくらくなり、視界は五十メートル先がもう見えないようになりました。あぶないあぶない。遭難する一歩手前のあぶなさです。
 
前へ 次へ
全352ページ中202ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング