ていきました。
「ああ、うまくいくぞ」
 水が革ぶくろのなかになくなると見るや、小浜兵曹長は、まだぷすぷすとのこりの火種の光っている青江のズボンのうえを、彼の両脚でもっておさえつけ、たたきつけ、とうとう火をのこりなくたたき消してしまいました。
 火だるまの種となった鉄製のナイフは、青江三空曹の焼けぬけたポケットから、ぽこりと下におちていきました。怪塔王にたいして、なによりも用心しなければならぬのは、金具です。
 小浜兵曹長はどこまでも、沈着な大勇士でありました。どこまでも注意ぶかく、そしておもいきって大胆に、この火消仕事をやりましたので、火だるまと化し、もうすでに危かった部下の一命をすくうことができました。
 急に身のらくになった青江三空曹は、うれしなきによろこびました。なんという尊敬すべき上官でしょう。
「ああ、上官、私は――」
 と言ったが、あとは胸せまって、つづけることができません。
「ばか、敵前でなにを女々《めめ》しく泣くか」
 とつぜん兵曹長の怒声《どせい》が爆発しました。

     3

 青江三空曹は、もうすこしで火達磨《ひだるま》になるところでありましたが、小浜兵曹長
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