んぞ。死ぬなら、おれがよろしいというまで死んじゃならんぞ」
たいへんな命令をだす兵曹長です。
そのうちに彼はついに、青江三空曹の下っているところにつきました。
「おい、青江、火をけしてやるぞ」
「そんなことができますか」
「なあに、きっと消してやる」
小浜兵曹長は、水のはいった革ぶくろの底をゆわえてあった紐を口でくわえ、首をまげてぐっとひっぱりました。ふくろは逆さになり、破れ目から水が滝のようにふきだしました。
2
なんという奇抜な考えでしょう。
小浜兵曹長は、首と手首とをうまくうごかして、革ぶくろの底をゆわえてあった紐をひっぱり、ふくろの中の水を、革ぶくろの破れ目から滝のように噴出《ふきだ》させました。
「おい、青江、しばらくじっとしておれ」
小浜兵曹長は、両手で綱にぶらさがったまま、体のひねり具合で、ふくろの中から流れでる水を、青江の服の燃えている一番上のところにかけました。
多くはありませんが、しゅうしゅうとこぼれる水は赤く燃えている青江の服を上の方からべとべとにしめらせましたから、水をひきやすいきれ地はみるみる水びたしになって、火のいきおいをよわらせ
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