らさがっている青江・小浜の二勇士の姿を、もし誰か同胞が見たとすると、彼は腸《はらわた》をかきむしられるようなくるしさにおそわれずにはすみますまい。
 怪塔王は、このありさまを怪塔の窓から、見おろし、ますます狼狽《ろうばい》のいろをあらわしています。そしてなお磁力砲を腕にかかえこんで、ひねくりまわしていますが、あわてているので、なかなかおもうようなところへ怪力線をあてることができません。
 ただ一回、まぐれあたりか、怪力線がぱっと青江機の車輪をささえている金具にあたりました。
 すると、おそろしいもので、その金具はたちまち青い焔をあげてとろとろと溶けてしまいました。車輪は、ささえがなくなったので、下へくるくるまわりながら、おちていきました。
 磁力砲が、金具にひどい熱をあたえ、人間の体にはそれほど熱をあたえないのは、この場合二勇士のため、まだしもの仕合わせでありました。
「もう一息だ。青江、がまんをしていろよ」
 つよい小浜兵曹長は、はげしい空気の流《ながれ》にもひるまず、たったったっと綱にぶらさがって、青江三空曹のそばに近づきました。
「小浜兵曹長――」
「おお青江、気をゆるめちゃいか
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