せんでした。
「おい、青江、いよいよこのへんで、貴様の高等飛行の手並を見せてもらうぜ」
「はい、それを待っておりました。かならず敵を征服いたします」
 と青江三空曹は、はりきったこえで、返事をいたしました。
「うん、その調子でしっかりたのむぞ。では、おれが命令するとおりに操縦をしてみてくれ」
「はい、承知しました」
「では命令を発するぞ。――まず急上昇!」
「はい、急上昇!」
 こえのおわらないうちに、青江機は空中に垂直に立ちました。エンジンははげしい爆音を立てます。機はぐんぐん上る!
「ああ、怪塔ロケットが右へにげだしたぞ。にがしてたまるものか。――宙がえり、急降下で右へ!」
 青江機は空中に美しい輪をえがいて、くるりと一転しました。そして、そうするが早いか、たちまち機首を下にむけて、のろ牛をおそう鷲《わし》のように、猛烈なスピードでさっとまいおりるのでありました。
「うまいうまい。りっぱな手並だ、まるでおれの若いときのようだ。いや、おれの方が、もうちっと上手《じょうず》だったがね」
 と、小浜兵曹長がいいました。操縦中の青江三空曹は、ほめられたのか、それともひやかされたのか、どっち
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