なにがんばって大丈夫か」
と小浜兵曹長は伝声管をとおして、ただ夢中に舵《かじ》をとっている青江三空曹によびかけました。
2
そんなにがんばって大丈夫かと、小浜兵曹長にきかれたがんばり屋の青江三空曹は、お団子のようにまるい顔を「ぷーっ」とふくらませてちょっと怒っています。
「兵曹長、青江はですね、日中戦争のときからこっち、敵と名のつくものを狙ったが最後、そいつを叩きおとさないで逃したなんてことはですね、ただの一度もありゃしないのであります。がんばるもがんばらないも、あの怪塔ロケットを叩きおとすまではですね、私はなにも外のことは考えないのです」
「外のことって、なんだい」
と、小浜兵曹長はたずねました。
「それは、つまりガソリンがきれるとかですね、敵の高射砲が盛に弾幕をつくっているとかですね、それからまた自分が死ぬなんてこと――そんなことをですね、外のことというのであります」
「ふうん、ガソリンのきれるのも、弾幕のこわいことも、自分が死ぬことも考えないのだね。すると、貴様は、俺の死ぬことは心配してくれているのだね」
「いえ、どういたしまして、自分の命はもちろんのこと、上
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