官の命もですね、どっちも心配しておりません。そもそも私の飛行機にお乗りになったということがですね、上官の不運なのであります。それとも――」
「なんじゃ、それともとは――」
「いや、どうも私は夢中になって自分の思っていることをしゃべるくせがあっていけません。なんですか、上官は命がおしくなられたのでありますか」
「ばかをいえ。俺が若いときには、貴様より三倍も命がおしくなかった」
「今は?」
「今か。今は十倍も命がおしくない。だから、貴様そうやってがんばって操縦しているが、俺の目から見れば、まだまだがんばり方が足りんな」
 これをきいて、青江三空曹の顔は、赤いほうずきのようになりました。

     3

(まだがんばり方が足りない。おれなら、もっとがんばるんだが――)
 と、小浜兵曹長にからかわれて、青江三空曹は怒ったの怒らないのと言って、うれすぎたほおずきのように赤かった顔が、逆に青くなりました。
「これだけがんばっているのに、まだがんばり方が足りないと言うのか。兵曹長に甘く見られちゃ三空曹の名おれだ。ようし、そんなら大いにやるぞ。死んでもやる。向こうをひょろひょろ飛んでいく怪塔ロケット
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