はつっ立ちました。
ごぼ、ごぼん、しゅうっ。
怪音をあげて、怪塔はふかい海底から水面までをひとはしり! ついに海面に、その気味のわるい首をあらわしたかと思ったとたん、ぴゅうと空中高くまいあがりました。
4
めずらしや、海底からうかび出て、ふたたび空中高くまいあがった怪塔ロケット!
海底では、日がさしませんから、夜はもちろん、昼間もまっくらで、あたりの様子から時刻を知ることができません。
だが、こうして空中にとびだしてみると、あたりはいま、夜が明けはなれたばかりの朝まだきであることがわかりました。
朱盆《しゅぼん》のように大きくて赤い朝日が、その朝、ことにふかくたちこめた海上の朝霧のかなたに、ぼんやりと見えます。
霧は、怪塔王のために、まさに天のあたえためぐみだと、怪塔王は、じぶんでそう考えてよろこんだのです。
しかし、一体怪塔王に、天のめぐみなどがあってよいものでしょうか。
そうです。天のめぐみだとよろこんだのは、怪塔王の早合点《はやがてん》のようでありました。
たんたんたんたんたん。
どっどっどっどっどっ。
ううーっ、ううーっ、ぶりぶりぶり。
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