人三人は、さっきまで二人の怪塔王をみていたことなんかどこかへ忘れてしまいました。
めいめいに口にこそ出しませんが、ひとりひとり心の中で、
(こいつはいけない。主人のおこるのもむりはないよ。おれは、昼間から夢をみたりしたんだもの)
というわけで、怪塔王にうまくごまかされてしまったとも気がつかず、号令にちぢみあがって円筒の中にひっこむと、怪塔をうごかす機械の前にぴったりとむきあいました。
「よいか。――次は飛行準備だ」
「はーい、飛行準備は出来ております」
黒人は、伝声管でもって返事をいたしました。
「よろしい。――ではいよいよ出発!」
「よーう」
と、黒人はかけごえして、使いなれた複雑な機械をあやつりはじめました。
ごぼごぼごぼごぼ。
海底によこたわった怪塔のお尻から、大きな白い泡がさかんにたちました。
ごとん、ごとごとん。
きりきりきりきり、きゅうん。
金属のすれあう音がして、怪塔はぐぐっ、ぐぐうっと動きはじめました。
機械の音は、刻一刻とやかましいひびきを立てはじめました。それとともに、怪塔の首がすうっと上にたち、やがていつもの怪塔と同じように、床は水平になり、壁
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