―」
と、帆村はマスクを下におき、両手をのばして怪塔王の覆面に手をかけました。
ああ、いまこそ怪塔王の覆面がひきむかれるのです。その覆面の下には、はたしてどんな顔があるのでしょうか。胸はおどる! 帆村の胸は、どきどきとおどります。
それを早くも察したものとみえ、怪塔王は覆面の下からおどかすような調子で叫びました。
「さあ、はやく覆面をとってください。しかし帆村探偵よ。この覆面の下にある我《わ》が輩《はい》の素顔を見て、腰をぬかさぬように!」
5
怪塔王が、いまや覆面をはぎとられようとして、その刹那《せつな》に――覆面をとるのはいいが、その覆面の下にある我が輩の素顔をみて腰をぬかすな! と叫んだ捨てぜりふ――
「うむ。――」
と帆村は、怪塔王が放ったいたい言葉に、思わず呻《うめ》きました。
ああなんという奇襲のおどかし文句でしょう。たしかに怪塔王の一言は、帆村の心臓をぷすりとさしとおしたようです。
怪塔王の首全体をつつんだ風呂敷の下には、一体どんなおそろしい顔があるのでしょうか。帆村でなくても誰でも、覆面の下をみることはおそろしい気持がするではありませんか。
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