たのはいいが、怪塔王は両手を帆村のためうしろにしばられているためマスクがかぶれないから、紐をほどいてくれというのです。
 帆村はそれをきいて、つよくかぶりをふりました。
「いや、だめだ。しばってある貴様の手をほどいたりすれば、貴様はどんなにおそろしいことをやるかしれない」
「ああいた、いたい」
 と、怪塔王はしきりに身もだえをします。そんなに両手が紐にくいしめられていたいのでしょうか。
「それほどいたくもないくせに、いたいいたいなどとおどかすなよ」
「いえ、ほんとにいたいのだ。ああいたい」
「いくらいたくても、僕はけっしてほどいてやらないぞ。じゃあマスクは、ぼくが貴様の顔にはめてやろう」
「えっ、あなたさまがマスクを私の顔にはめてくださるというのですか」
 怪塔王は、わざとらしくながいため息をついた。
「なにをそんなに、ため息などをつくのだ」
「いえ、ため息というほどのものではありません。さあ、では一刻もはやく、私にマスクをかぶせてください」
「うむ、いまやってやる」
 と、帆村はマスクを手にして、風呂敷で覆面している怪塔王の前に近づきました。
「そうだ。まずその覆面をとらなくては。―
前へ 次へ
全352ページ中145ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング