ぶないものをとりのぞきました。
「さあ、これでもう貴様の体は、たまをはじきかえす力がなくなったぞ。おとなしくしたがいい」
『声』の怪塔王が、ふかい溜息《ためいき》をつくのがきこえました。
「どうかあれを早くかえしてくれたまえ」
「よし、かえしてやろう」
 と、『顔』の怪塔王は自分の顔を両手でおさえました。さあ、なにごとが始るのでしょうか。


   マスクと顔



     1

 いま怪塔の中に、とても信じられないような不思議なことが行われている。
 こっちへ顔を見せている、『顔』の怪塔王は、その両手を自分の顔にかけると、えいやと力をいれて、すぽりと顔を脱いだ。
 顔を脱いだのである。
 目、鼻、口、それから頭の髪《かみ》の毛までそっくりついて、怪塔王の顔の皮はまるで、豆の皮を剥《は》ぐようにくるくると剥がれたのであった。
 ああなんといたいたしいことだ。
 血?
 さだめしたくさんの血がどっとふきだすこととおもわれたが、そうはならなかった。ただびっしょりと玉の汗をかいた帆村荘六の顔が、その下から現れた。
 なんだ、マスクだったのか。
 マスクにしては、なんと巧妙なマスクだろう。

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