、『顔』の怪塔王はからからと笑い、
「では、海底から怪塔をとびあがらせるがいいじゃないか」
「駄目だ。お互の、このかっこうでは駄目だ。黒人には、どっちが本当の怪塔王か見分がつかなくなっている。だから、どっちの命令を聞いていいか、わからない」
「じゃあどうすればいいのだ」
「わしの部屋から貴様が盗んだものをどうか返してくれ」
 と、『声』の怪塔王は泣きだしそうです。

     4

「――盗んだ物を、僕に返せと言うのかい。あっはっはっ、とうとう本音《ほんね》をはいたね。食事にもいけなかったり、また折角《せっかく》の殺人光線灯も役にたたなかったり、黒人が言うことをきかなかったりしたんでは、もう弱音をはくより仕方がないだろう」
 と、『顔』の怪塔王は、ほがらかに笑い、
「じゃあ、貴様の頼みをきいて、あれを返してやろうよ。こっちへ来い」
「えっ、返してくれるか」
 と、『声』の怪塔王は、大よろこびでじりじりと、近づきます。
「おっととっ、そのまま近づいちゃいけないよ。両手を高く上るんだ。頭より高く上るんだ。さもなければ、僕は貴様の恐れている秘密を黒人に――」
「待て――」
 と、『声』の怪塔
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