追われ、太平洋の波間に姿をけしてしまった怪塔は、そののち海上の監視艦の目に二度とうつりませんでしたが、じつはその怪塔は、波の下のふかいふかい海の底に、じっと横たわっていたのです。
 そこは水深四百メートルといいますから、たいへんな深さの海底です。
 太陽の光も、もうここには届かず、あたりはインキをとかしたように、まっくろで煙のような軟かい泥が、ふわりと平《たいら》に続いています。さすがに海藻も生えていません。まるで眠っている沙漠とおなじことであります。
 その軟泥《なんでい》の寝床のうえに、怪塔は横たおしになったまま、じっとしていました。ただ怪塔の窓には、内部のほの明るい電灯の光がうつり、まるで、魔物の目をあけて、あたりを睨《にら》んでいるように見えます。
 さあ、怪塔の中は、一体どうなっているでしょうか。
 ここは二階の機械室です。
 怪塔が横になっているので、すべての機械るいは横たおしになっています。
 三人の黒人が入っている三つの太い鉄の円筒もみな横むきになっていました。
 帆村探偵は、どこにいるのでしょうか。
 それから、問題の怪塔王は、いまなにをしているのでしょうか。
「どう
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