とをするのでしょう。いるならいる、いないならいないと正直に人にしらせるのが本当なのに、そんな不正直なことを博士がするでしょうか」
 一彦はあくまで博士がえらい人だと信じていたから、こう申しました。
 塩田大尉は、一彦の言葉をじっと考えていましたが、やがて一彦の顔を見ながら、すこし言いにくそうに、
「ねえ一彦君、私はどうもちかごろ博士のすることに、腑におちない点があるのだよ。それに帆村君からの言伝《ことづて》にも、博士に必ず会って見ろとあったではないか。帆村君も博士に気をつけろというつもりでそう言ったのではあるまいか」
 一彦はなぜ、塩田大尉がそう言うのか、はっきりのみこめませんでした。早くもその顔色を見てとった大尉は一彦の肩を叩き、
「さあ、元気を出して謎にぶつかって見ようではないか、博士にはすまないが、まずこの室内をよくさがして見よう」


   顔の怪塔王



     1

 お話はかわりまして、ここは皆さんおまちかねの怪塔の中です。
 あれ、怪塔はまだちゃんと形がのこっていたのかとお尋ねになるのですか。そうです。怪塔はまだちゃんとしていましたよ。
 塩田大尉の指揮する飛行隊に
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