たものを見なかったかと、問いあわせ中であったので、それならば今、裏山からこうこういう煙の信号があがっているところで、塩田大尉に知らせてくれといっていますよ、というわけで、たいへんうまく塩田大尉と話がついたのであります。
「ああうれしい。塩田大尉が来てくださる。僕、うれしいなあ。大尉に会うことができたら、僕はすぐ帆村おじさんからの言づてを話して、一刻も早く怪塔征伐をやってもらうのだ。――大尉はどうしてこの山の中まで来るかしら。やっぱり飛行機で来るのかしら」
と、一彦は急にたいへん元気づきました。これを見ていた炭やき爺さんも、これなら自分も骨おりがいがあったと大よろこびです。
それはちょうど、おひる前の十一時ごろでありました。一台の飛行機が、東の方の空から近づいて来ました。飛行機は、一彦たちのあたまの上まで来ました。一彦は寝そべったまま白布《はくふ》を手にして振り、爺さんはしきりに炭焼竈の煙をさかんにあげて飛行機の方に相図《あいず》をしました。
その相図が通じたのか、その飛行機はぐるぐる旋回をはじめながら、しだいに高度をさげてまいります。千メートルから九百、八百、やがて五百メートルと
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