かね。あれは強力な信号灯のように見えるが、おまえさんは、あんなものを持って、ここで何をしていたのかね」
「ちがう、ちがう。そんな大それたものではない。それに、あれはおれの持ちものではなくて、ここで拾ったものだ」
ガスコは、しどろもどろの返答をしながら、目を横に走らせて三根夫をにらみつけた。
あの三根夫めが、ハイロにちえをつけたなとうらめしくてならないのだ。
「拾ったものだって。よろしい。ガスコ君とやら。それでは、でるところへでてじぶんで説明するがいいだろう。わしは、きみを警備軍へひき渡してやる」
「いや、おれがきさまらを警備軍へひき渡すんだ。きさまたちこそ、こんなとこへあがって、あやしい行動をとっていたことは明白だ」両方が、たがいにいい争っていたとき階段の下のほうにあたって、たくさんの足音が入り乱れて、こっちへ近づくのがわかった。
「きた!」
「きたな。さあ、たいへん」
「ちえッ。しまった。きさまたちがぐずぐずしているから、こんなへまなことになるんだ」
三根夫とハイロ、それにガスコも、三人が三人とも、顔色をかえた。近づくあの大ぜいの足音は、監視隊附の武装ガン人たちが、あやしい者ありと知って、かけつけてきたのにちがいない。すると、あとは三人とも、この場で逮捕されるばかりだ。三人は、それぞれの思いで、その場に足がすくんでしまった。
ところが、大ぜいの足音は、階段をのぼってはこず、意外にも階段下をかけぬけて、いってしまった。しかし次の一隊が近づき、この一隊もまたかけぬけていった。そのとき警報が高声器からとびだした。
「第一級の非常事態が起こった。ガン人はただちに非常配置につけ!」
警報はくりかえし叫ばれた。第一級の非常事態とは何事であろうか。このときガスコが、にやりと気味のわるい笑みをうかべた。
恐怖《きようふ》の敵
「たいへんだ。これは、たいへんなことになりましたよ、三根夫さん」
ハイロは顔色をかえて、三根夫にいった。
「どうしたの。第一級の非常事態が起こったというが、それはどんな事態なの」
三根夫はたずねた。
「第一級の非常事態というのは、わたしたちがいまこうして住んでいる星が破壊の危険にさらされているということなんです」
「ガン星が破壊するって。それはなぜ破壊するの」
「なぜか、ここではわかりません。はやく下へおりましょう。わたしもすぐじ
前へ
次へ
全120ページ中101ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング