ことだと思う」
「なんだ、天窓だって。屋根に天窓をあけるのかい」
「そうじゃないよ。怪星ガンの天井に天窓をあけることをいってんのさ」
「ふん、怪星ガンの天井に天窓があけられるのかい。第一、天井とはどこをさしていうのかね」
「わかっているじゃないか。本艇が、このまえ、怪星ガンの捕虜となったときに、ほら、空が四方八方から包まれていったじゃないか。あの包んだしろものが、怪星ガンの天井なんだ。その天井になんとかして、天窓をあける方法はないものかな」
「さあ。どうすればいいかな。とにかくその怪星ガンの天井までのぼらなくちゃならないね。その天井は、そうとう高いところにあるんだろう。どこからのぼっていけばいいか、その研究が先だね」
「そうとう遠いと思うね。飛行機にのっていかないと、あそこまでいきつけないのではないか」
「えっ、飛行機だって。そんなに高いところにあるのかい。何千メートルというほどの上にあるのかい」
「いや、はっきりしたことはわからないが、あのときの感じでは、そう思った」
「ぼくも、天井が何千メートルも高いところにあるという考えにはさんせいだが……」
と、別の隊員がいった。
「しかし、どうも分らないことがある」
「それは何だね」
「本艇から、あの繋留塔《けいりゅうとう》をおりて、街へいくが、本艇と街と、いったいどっちが、怪星ガンの中心に近いのだろうか」
「なんだって」
「つまり、ぼくははじめ、本艇のほうが、怪星ガンの表面に近くて、街は、それより深い所にあると思っていたんだ。ところがこの頃になると、そうではなくて、そのはんたいのように考えられるんだ」
「それはちがうよ。はんたいだね。きみのいうように、街のほうが、本艇よりも、怪星ガンの外側に近いところにあると仮定すると、重力の関係があべこべになるじゃないか。なにしろ足の方向に、重力の中心があるはずだからねえ。だから本艇よりも、街のほうが、怪星ガンの中心に近いのさ」
「いや、それでは、怪星ガンの構造がおかしくなるよ。街の上に、本艇がいまふわりと浮いている空間があって、その外にまた何か怪星ガンの外側の壁があるというのは、おかしいと思うね」
「さあ、どっちかしらん」脱出方法を見つけることは、あとまわしで怪星ガンの構造のほうが、やっかいな問題を起こしてしまって、討論ははてそうにもない。
このことについて、三根夫少年は、隊長テ
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