千二は、先生の顔を見た。そのとき、先生は目顔で、しっと叱った。それで、千二は、しまったと思った。手をきちんと膝の上におき、顔を前に向けた。ところが、おどろいたことに、いつの間にか千二の前には、お料理をもった大きな鉢がある。
「うわあっ、いつのまに、こんなごちそうが、出てきたのだろう」
 と、千二は、自分のまえに、とつぜんあらわれたごちそうの鉢をながめて、目をぱちくり。
「千二。それほど、驚くことはないよ。ほら、テーブルの真中を見ているがいい。ごちそうの鉢が、どんなふうに出てくるか、よくわかるじゃろう」
「え、テーブルの真中ですか」
 博士に言われて、千二は、テーブルの真中を見た。
 テーブルの真中に、とつぜん、ぽかりと穴があいた。それは、大きな丸いおぼんが、はいるくらいの大きな穴であった。
 すると、下から、ごちそうの鉢が、せりあがってきた。
「おやおや、出てきたぞ」
 鉢が、テーブルのうえまであがると、こんどはその鉢は、すうっと走りだして、新田先生のまえへいって、ぴたりととまった。
「やあ、このごちそうの鉢は、化物の一種だな。鉢が、ひとりで、テーブルのうえを走るんだもの」
 千二は、驚いて言った。
「なあに、鉢が走るのじゃない。テーブルのうえに張ってある耐水セロファンの帯が、鉢をのせたまま、うごくのじゃ。つまり、工場でつかっているベルトコンベヤーみたいな仕掛じゃ」
「ベルトコンベヤーって、なんですか」
「それを知らんかね。工場へいけば、どこでも使っているよ。たくさんの職工さんが並んでいる仕事机のよこを、はばのひろい帯が、たえずうごいているのじゃ。一人の職工さんが、自分の加工した製品を、このベルトの上にのせると、ベルトは、たえずうごいているから、その製品をのせて先の方へはこんでいく。ベルトの端には別の職工さんがまっていて、ベルトではこばれた製品をおろすといったわけじゃ」
「ああ、名は知らなかったけれど、その仕掛なら、知っていますよ」
 千二は、ベルトコンベヤーのことを、一つおぼえた。
 つまり、このベルトコンベヤーと同じことに、テーブルの真中からあらわれたごちそう入りの鉢が、それをたべる人の前まで、はこんでくれるのであった。動く帯と、テーブルの地の色とが、同じ黄色であったから、その帯が動いていることが、千二にはわからなかったのである。
「博士、やっと、わかりま
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