じめて、安心のいろをうかべた。
 しかし千二には、なんのことやら、わけがわからない。千二は、先生のそでをひいた。
「先生、どうしたのですか。なにが、安心なんですか」
「ああ千二君。ロロさんとルルさんなら、こういうわけだ」
 と、そのときのことを、かいつまんで千二に説明した。
「そうですか。博士はこの前、火星へいったとき、この二人の遺児をたすけて、地球へつれてきたのですか。すると、博士は、この二人の火星人には、大恩人なんですね」
「そうだ。だから、火星兵とは、ちがうのだ。安心していいよ」
「でも、このロロさんとルルさんは、火星兵と同じすがたを、しているではありませんか。なぜでしょう」
「なるほど、これはどういうわけかな。ひとつ、博士にうかがってみよう」
 先生が、このことを博士にききただすと、博士は、
「いや、地球と同じ空気の中では、こうしたものを着ていないと、からだにさわるのだ。わしは、火星兵が着ているのに似せて、特別製のを作ってさしあげたのだ」
 と言った。
 大空艇の中は、だいぶん、にぎやかになった。博士と先生と、ほかに千二が加わり、今またロロ公爵とルル公爵という二人の火星人があらわれて、一行は五名となった。
 はじめは、ちょっと気まずい思いをしたけれど、よく考えてみれば、おたがいに、火星兵団の丸木を敵にまわしている身の上だから、やがて、まもなく仲よしになった。
 ふしぎな光景の晩餐会が、この大空艇でひらかれた。そこは、天文に関係のある写真額が四方の壁にかかっている部屋で、この大空艇の中で、一番ひろい部屋であった。まるいテーブルが、真中にあって、五名は、これをかこんだ。
 博士が正面、その右に先生、左に千二少年。そのお向かいに、ロロとルルの二人の火星人が座をしめた。
 はじめ、テーブルの上には何もなかった。
(これは、どうなるのかなあ。天井から、お料理の皿が、降ってくるのかしら。へんな宴会だ)
 と、千二はふしぎに思って天井を見上げたり、博士の顔を、よこ目でみたり。
 すると、博士が、
「では、これから始めます。今日は、とくべつに、とっておきのいいお料理を出して、ロロ公爵とルル公爵の御健康を祝すことにいたします」
「どうもありがとう」
 ロロ公爵とルル公爵とは、おぼつかない日本語で、あいさつをした。
(へんだなあ。いいお料理というが、なんにも出てこないじゃないか
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