んだ、あの火星人のことか」
 と、意外にも、にっこり笑った。


   63[#「63」は縦中横] ロロとルル


 新田先生が、蟻田博士を、するどく問いつめると、意外にも、博士はにこにこしているのだ。
「博士、わたしは、まじめに申しているのですよ」
 先生は、しんけんな顔で言った。
「いや、わしもまじめだよ。まあ、こっちへはいれ。ここにおられる二人の火星人のことなら、そんな心配は無用じゃ」
 博士はそう言って、先生と千二との顔を、おだやかな目つきでながめた。
(一体、これはどうしたんだろう?)
 と、千二少年は、先生のうしろで目をぱちくり。
 博士と話をしていた二人の火星人は、さっきから、何か頭をよせて、ひそひそと語りあっていたが、この時二人して、博士のそばへやって来た。
 二人は、博士に何かしゃべった。それは火星語であった。何かたずねたようすである。
 博士はうなずいた。そうして、火星語でこたえた。
 すると、二人の火星人は、一しょに、頭をふって、うなずいた。それは、安心しましたという風に見えた。
 博士は、先生と千二の方に向かい、
「いま、こちらが心配して、わしにあいさつがあった。『この二人の人間は、何かおこっているようだが、どうしたのですか』と、言われるのだ。わしは、『どうぞ、ご心配のないように。この二人は、わしの子供と孫みたいなものですから、べつに、けんかをしているのでも、なんでもないのです』と、言ったのだ」
「なに者ですか。博士が、そんな、ていねいなことばをつかう火星兵は……」
 と、先生が言うと、博士は、
「火星兵ではないよ、火星人ではあるけれども……」
「では、なに者……」
「ロロ公爵とルル公爵だ。火星から、地球へ亡命して来ておられる方だ」
「ああ、ロロとルル……」
 新田先生は、気がついた。
 博士は、ロロ公爵とルル公爵と言ったが、この二人の火星人は、先ごろまで火星をおさめていた女王さまの二人の子供であった。この二人が、博士邸の地下室で、うごめいていたところを、新田先生は、見たことがあった。あのとき、ロロの方は、丈夫であったけれど、ルルの方は、大けがをしていた。博士はルルをなおすために、アルプスまで、くすりになる草をとりにいったことがあった。
「ああ、あのロロさんとルルさんなら、私は、お話をしたことがあります。ああ、そうでしたか」
 と、先生は、は
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