ああ、絶望の地球!


   51[#「51」は縦中横] 博士の大決心


 新田先生は、蟻田博士の地下研究室の中にあって、ただもういらいらしていた。何とかして心を落着けたいと思うが、今までのように心がしずまらない。そうでもあろう、モロー彗星との衝突の日まで、あとわずか一週間しか残っていないのであるから……。
 新田先生は、落着きはらって仕事をつづけている蟻田博士が、うらやましくもあり、腹が立っても来る。
「博士。もうあと一週間で、この地球が粉々にとびちってしまうというのに、博士は何をそんなに熱心に研究しておられるのですか」
 博士はしきりに電気火花をじいじい言わせて、ガラス管の中にある青黒い紐のようなものにあてていた。
「しずかにしていてくれ。わしの研究の、じゃまをしてはいかん」
 博士は、目盛を直しては、またじいじいと電気火花をとばし、ガラス管の中をのぞきこんでいる。
「しかし、博士。……」
「こら、だまっておれというのに……」
 博士は、新田先生が話しかけるごとに、きびしく叱りつけた。一体博士は、何をしているのであろうか。
 新田先生は、ついにだまってしまった。
 博士は実験をくりかえしていたが、そのうちに、たいへん驚いた様子で口を大きくあけ、手のひらを打った。
「うむ、やっと思うように行ったぞ!」
 博士は、ひとりごとを言った。
 新田先生は、博士のうしろから実験台をのぞきこんだ。
 博士はガラス管を指先につまみあげて中をのぞきこんだ。青黒い紐のようなものの一部が、赤く焼けたようになっている。
「これだ、これだ」
 博士は子供のようにおどり上った。博士は実験に成功したらしいが、それは一体どんなことであったろうか。
 蟻田博士が躍り上って喜ぶなんて、よくよくのことである。
 博士の研究は、ついに完成したらしい。
 一体、博士は、何を研究していたのであろうか。
 新田先生は、博士が喜んでいるそばへ、恐る恐る近づいた。
「博士、御研究が、うまくまいりましたか」
 と、先生が声をかけると、蟻田博士は後をふりかえって、
「ややっ、お前がいたのか……」
 と、急に不機嫌になった。博士は、自分の研究を他人に知られるのが、いやなのらしい。
 新田先生の心は、ちょっと重くなった。博士と自分とは師弟の間がらであるのに、なぜ、こう博士はいやな顔をするのであろうか。
 先生は、この
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