ぞへ行くものか!)
と、蟻田博士は、はっきり言った。
「じゃ博士は、どこへ行かれるのですか。まさか四月四日に、この地球の上にとどまっていて、地球人類と共に死滅せられるわけではないでしょう」
と、新田先生はつっこんだ。
「ふん、わしの心はきまっている。しかしそれをお前に話をするわけにはいかん」
「なぜ、話して下さらないのですか」
新田先生は不満であった。
「わしは、そのような大切な計画を、誰にも知られたり、じゃまされたりしたくないのだ。何しろ、四月四日の大危難を切りぬけるのは、なまやさしいことではないからのう」
博士はため息をついた。
蟻田博士にとっても、モロー彗星の衝突事件は、たいへん困ったことらしい。新田先生は、これ以上博士をときふせることが出来なくなって、口をつぐんで、少しうつ向いた。
「ほう、ほう、ほう」
博士は、奇妙な笑い声を立てた。
「何だ、お前はいやにしょげてしまったじゃないか。若い者のくせに、そんなことでどうなるのか」
「ですが、博士。博士のお言葉は、私から元気をうばい取ってしまいます」
「誰でも、最後まで勇気が必要だ。わしを見ろ。この通りの老人だが、どんな時にも、勇気をうしなわないで、たたかって来た。――そうだ、お前にいいものを見せてやろう。こっちへお出で」
博士は、新田先生を手招きすると、立上って、暗くてせまい地下のわれ目を奥のほうへと、はいって行った。
(何を見せてくれるのだろう?)
新田先生は、好奇心にかられながら博士のあとを追った。
しばらく行くと、急に地下道がひろびろとして、りっぱな廊下や階段があらわれたのには、先生はびっくりした。
(何を見せてくれるのだろうか!)
と新田先生は、蟻田博士のうしろについて、不思議な長い地下道を、どこまでも下りて行った。
(全く不思議だ。こんなりっぱな地下道があるとは……)
地上は、地震で見るかげもなく、くずれてしまったのに、地下はこの通りちゃんとしているのである。地震の害は、地上の方がひどく、地下は割合に害を受けないと聞いていたが、新田先生は今それを、この地下道において、この目で見て、はっきり知ることが出来た。
それにしても、博士はいつの間にこのようなりっぱな地下道を作ったものであろうか。先生は、底知れない博士の力に、あきれる外なかった。
「この部屋にあるのだ。さあ、わしについて、は
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