すね」
「ロロは割合に元気だったが、ルルの方はだいぶん弱っていた。その時は、かなりひどく寄生藻にやられていたのだ。でも、わしは出来るだけの手をつくした。その結果、ともかくも二人の体を、すっかり元のように、なおしてやった。わしは火星人に二人をうばいかえされることをおそれ、わしの宇宙艇の一室に二人をかくして、外へ出さなかったのだ。――こうして、ロロとルルの二人を、この地球へ連れて来ることが出来たのだ」
 と、蟻田博士は、深いため息とともに、不思議な話を語り終ったのだった。


   44[#「44」は縦中横] 時おそし


 火星人ロロとルルとを助けた蟻田博士の話は、新田先生をたいへん感心させた。博士を、つめたい心の持主だとばかり思っていたのに、これをみると、なかなかやさしい心がけであった。
「ねえ、博士。博士は、火星人ロロやルルにたいして、そんなにしんせつならば、人間にたいしてももっと思いやりを持って下さってもいいではありませんか。やがて四月四日、モロー彗星に衝突されて、むなしく死んでしまわねばならぬ地球人類にたいして、危難をまぬかれる何かいい方法を考えて下さいませんか」
「人間は大きらいじゃ」
 と、老博士は、にがにがしく言って、
「それに、もうすでに時おそしじゃ。何をやっても、もう間に合わないだろうよ」
「そこを、何とかならないものでしょうか。何千年・何万年という輝かしいわが人類の歴史を考えると、このまま人類を絶滅させるには、しのびないではありませんか」
「人間たちの心がけがよくないから、そんなことになるのだよ。今ごろになって言っても、もう始らないが、わしは三十年このかた、地球人類に警告をして来たのだ。近ごろになっても、あの『火星兵団』についての警告放送をやったりしたが、誰も本気になって、それを聞かないのだ。対策を考えようとしないのだ。万事、もうおそいよ。自業自得だ」
 と、博士はあいかわらず人間たちにたいして、ひややかな言葉をはいた。
(そうでもあろうが、ここで何とかして、博士の心に、人類愛・同胞愛を起させなければならない)
 と、新田先生は自分の心を自分でむち打った。
「すると博士はどうされるのですか。四月四日の前に、ロロとルルを連れて、火星へお帰りになるのですか」
「何をばかなことを! 火星へ行くのは、ロロとルルを処刑場へ連れて行くようなものだ」
(火星なん
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