二百から五百メートルですから、いかに短いかということが判りましょう。
 この超短波についても、いろいろと面白い失敗が繰りかえされました。超短波を使って近くで通信をすると、びっくりするくらい大変よく聴える。しかるに何百キロ何千キロという遠方《えんぽう》になると、どんなに電力を増《ま》しても聴えない。これは可笑《おか》しいというのでいろいろ調べてみました。
 電波というものは、地表の一点から発射されると、どんな道を通って前進するか? お月様が傘《かさ》を被《かぶ》ったときに外に輪が見えますが、あれに似た恰好《かっこう》に、地球の外には、地球を包んで電気|天井《てんじょう》というのがあります。電気天井の高さは、地表から百キロぐらいです。電波はこの電気天井と地表との間に明いている空間を走るのです。走るといっても、波長が長いラジオのような電波なら、足を地表につけたままで前進するし、短波のように短い電波になると、地上から探照灯《たんしょうとう》を出したような恰好に空に向けて前進し、電気天井にあたってまた下へ下りて来ます。例えば青森で出すと上へ上って門司《もじ》の上空で電気天井にぶっつかり今度は反射
前へ 次へ
全12ページ中4ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング