バラバラにしてしまいました。先刻《さっき》と反対です。レッドの身体を本庁で縫い合わせたとき、肩の肉が途中で落したものか無かったため、穴ぼこ[#「ぼこ」に傍点]になっているのです。そうなったのもヤーロのせい[#「せい」に傍点]だというので、ヤーロの肩の肉をナイフで切り、その序《ついで》にバラバラにしてしまったのです」
「仕方がない。早く両人を集めてこい。こんどは罰金をすこし高くしよう」
 それから二十一日経った。捜査課長はご機嫌|甚《はなは》だ斜めだ。さっき総監からイヤな言葉を抛《な》げつけられたのだ、「君のところには、取り立て未了《みりょう》の罰金がすこぶる多くて責任額にも達しないじゃないか。あまり成績が悪いと気の毒だが、退職して貰わにゃならぬぞ」と威《おど》されたのである。
(よオし、こうなったらば已《や》むを得《え》ん。最後の手を用いて、総監の鼻を明してやろう……)
 彼は机上のマイクロフォンを取りあげて、レッドとヤーロの逮捕を電命《でんめい》した。
 二人の親分が本庁に到着したのは五分の後だった。
「二人揃ったネ。揃ったら、そのまま此の手術室へ入れッ」
「なにをするんです、課長さ
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