一九五〇年の殺人
海野十三
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)何処《どこ》だッ
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)一|服《ぷく》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)このあっし[#「あっし」に傍点]でサ。
−−
「旦那人殺しでがすよ」
「ナニ人殺しだって? 何処《どこ》だッ、誰が殺されたのだッ、原稿の頁《ページ》が無いのだ、早く云え」
「そッそんなに急いでも駄目です。場所は向うの橋の下ですよ。手足がバラバラになっていまさあ、いわゆるバラバラ事件というやつでナ」
「被害者の人相に見覚えは無いかネ」
「ああバラバラじゃ、人相は判りっこなしでさあ」
「じゃ直ぐに行ってみよう。さあ急げッ」
捜査課は総出で、現場へ急行した。なるほど橋の下に、惨虐《ざんぎゃく》の限りをつくして、バラバラの屍体《したい》が散らばっている。
「殺されているのは、一体誰だろう?」
「それはレッド親分に極《きま》っていますよ」
「アレッ。人相は判らぬと先刻《さっき》云ったじゃないか」
「人相はモチ判りませんよ。しかしここに転がっている腕に『ケテ
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