ー命』とあるからにゃ、レッド親分に間違いなしでサ」
「そんなの無いぞ、貴様!」と捜査課長は顔を膨《ふく》らました。
「さあ、この屍体《したい》はガランの中に拾い集めて、本庁の手術室へ送って呉れ。……あとは犯人探しだ。さあ方向探知器を持ってこい。こうやって目盛《めもり》を合わせて、釦《ボタン》を押せばいい。ウム、出たぞ出たぞ。テレビジョンに犯人が現れた。なアんだ。これあ同じ渡世《とせい》の競争相手のヤーロの奴じゃないか。オヤ真青《まっさお》になって、四十番街を歩いているぞ。よオし、無線電話で交番を呼び出せ……ナニ出たって。早く逮捕を依頼しろ。なんだってもう捕えたというのかいヤーロの奴を。それじゃ一同、本庁へ引揚げだ。それ、呼子《よびこ》の笛を吹くんだ、呼子の笛を……」
ピリピリピリと鳴る笛の音に集った部下を引連れ、捜査課長はニコリともしないで凱旋《がいせん》の途《と》についた。
「課長!」と玄関の石段をのぼるが早いか、もうA組の主任警部が待っていた。
「犯人ヤーロが待ち疲れています。早くお調べが願いたいと云って喧《やかま》しくて仕方がありません」
「そうか、五月蠅《うるさ》い奴じゃ。紅
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