、なんとなく不安であった。彼はそれが常住の土地を離れた者の望郷病だと解し、自分の心の弱さを軽蔑した。
食事がすんで時計を見ると、列車にのるまでまだ小一時間もたっぷり余裕があったので、彼は窓ぎわに涼《りょう》をとるような恰好《かっこう》をしながら、その実、例の鏡の裏から読みとった新しい暗号の発展を脳裡《のうり》に描いていた。
彼のノートには、第五図のように書いてあった。
[#ここから罫囲み]
[第五図]
※[#丸4、1−13−4]
8□
_______
74□)□□□□□□
□□□2
―――――
□9□□
□74□
※[#丸5、1−13−5]ハ大阪市新世界「アシベ」劇場内ニ掲出ノ「ロビンフッド」ノポスターノ右下隅。星印アリ
[#ここで罫囲み終わり]
これで見ると答の二桁目が出ているが、枠で囲ってあるから、何の数字やらわからない。四段目の四数字のうち□74□と二字だけ分ったのは、有力なる手懸りだ。
帆村はこれを整頓して、いままで分った数字を入れたり、新しい枠のなかに記号をいれたりした。それは別掲のとおりだった。(第六図)
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