興味あるものが現われますから」
 木村氏が手にしていた細長い懐中電灯様のものは、紫外線灯だったのだ。帆村が感心しているとき、スイッチが入ったものと見えて、裏板がぱっと青く光った。見れば、それは文字の形になっているではないか――。
[#ここから2字下げ]
“※[#丸1、1−13−1]x=□□□□□□=74□×?”
“※[#丸2、1−13−2]ハ東京市銀座四丁目帝都百貨店洋酒部ノ「スコッチ・ウィスキー」ノ広告裏面。赤キ上衣ヲ着タル人物ノ鼻ノ頭に星印アリ”
[#ここで字下げ終わり]
 と、愕《おどろ》くべきことが書いてあった。


   車馬賃一万円也


 帆村荘六は、木村事務官と別れて、いよいよ活動に入った。
 ペン先の看板の裏に書かれた x=□□□□□□の□□□□□□こそ、探す暗号の鍵の数字であった。しかしいかなる数字であるか、はっきり記さず 74□×? と妙な書き方をして逃げてある。そしてこれを※[#丸1、1−13−1]として、あとは※[#丸2、1−13−2]を探せというような書きっぷりであった。実に不思議なペン先の看板だ。
 どうして木村事務官がこれを手に入れたかについて帆村は質問
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