なものだが、油断《ゆだん》のならない話だね。で、その七八人の荒くれ男というのは一体、どこの国の人たちかね」
「さあ、そんなこと、分らないわ――。あら、お友達が来るわ――その人達は、イギリスの海賊じゃないかしらと思うのよ。もう、何のお話も中止よ」
 バーバラがここまでいったとき、彼女の部隊は、賑《にぎ》やかな声をあげて追いついた。
 白木は、このとき私にそっと合図をした。そこで私は、彼のうしろについて、そこに見える城塞《じょうさい》の小門《こもん》をくぐった。白木は、私の方をふりむいた。そしてステッキを叩いていうには、
「これが買って来た軽機銃《けいきじゅう》だよ。どうやらこいつの役に立ちそうな時が来そうだ」といった。


   謎《なぞ》の音叉《おんさ》


 メントール侯の居間《いま》に入りこんだ。
 番人はいたが、白木は石垣《いしがき》の方を指さして、あとからあのとおり娘たちがのぼってくるから、冷い飲物と、ランチをひろげる場所を用意してもらいたいというと、その番人は両手をひろげて、ほうと大きな声をたてると、にやにやと笑って、厨《くりや》の方へ駈けこんでいった。
 私たちは、その隙《
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