のせられ、寒い田舎を搬んでいかれた。
そして遂に放送所についた。
ぼくの取付けられている機械は、函から出された。そこには多勢の技師が待っていた。
「ああよかった。これで安心だ。間に合うかどうかと思って、ずいぶん心配したなあ」
その中の一等|年齢《とし》をとった人が、そういって一同の顔を見廻した。
それからぼくの機械は、多勢の肩に担《かつ》がれ、二階の機械室まで持っていかれた。
この機械を据えつける基礎はもうちゃんと出来ていた。機械はその上に載《の》せられた。うまくボルトの中に嵌《はま》らないらしく、盛んにハンマーの音がかんかん鳴った。
その震動は、ぼくのところまでもきびしく響いてきた。
「おや、これはいけないぞ!」
ぼくは気がついた。たいへんなことが起りかけた。ぼくの身体が、穴から抜けそうである。
あんまりがんがんやるからいけないのである。基礎がちゃんとうまく出来ていればよいのに、それが寸法《すんぽう》どおりいっていないものだから、ハンマーをがんがんふるわなければならないのだ。それは全くよけいな心配をぼくにかける。いや今となっては、単なる心配ではない。ハンマーがガーンと
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