があるということ――三つとも分かりましたね」
「ええ。でも、彼らは特別の植物です。お化けの植物です」
「そうではありましぇん。ふつうの植物です。いまあなたがたに注射をすれば分ります」
 博士は二人に注射をした。
 するとふしぎなことがあった。今まで踊っていた植物どもは、急におとなしくなり、やがてぴったりしずまった。――それはどこにでも見られるしずかな熱帯林《ねったいりん》の姿であった。
 博士は、二人のからだから蔓草を切りとった。そして笑いながら説明をしてくれた。
「さっきここへきてから三十分にしかならないと思うでしょう。しかし本当は三年間たちました。つまり注射の力で、あなたがたは三年間をたった三十分にちぢめて植物のしげっていくのを見たのです。こうして時間をちぢめてみると、生物であること、よく動くことがお分りでしょう。どうですか。おもしろかったでしゅか。お二人さん」
 東助とヒトミは、ほっと安心して、ため息をつくばかりであった。


   聞いたような名


「おいおい、もう目をさましても、いいじゃろう」
 ポーデル博士の声に東助もヒトミも、ねむりから起こされてしまった。
 ポーデル博
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