ええと、ポーデル博士」
東助は、うしろに立って、にやにや笑っている博士にたずねた。
「彼らは、今に、こっちへくる。来れば、それが何者だかわかるでしょう」
博士は、それ以上語ろうとはしなかった。
博士のいう「彼ら」とは、いったい何者であろう。二人が目をみはっているうちにも、彼らの集団は、だんだんこっちへ近づくのが分った。彼らは、頭の上に長い手をふりたてて踊りくるっている。みんな緑色の細いからだを持っている。赤い花みたいなもので、からだをかざりたてているのもあるようだ。
「あれ、何なの。あんな生きもの見たことないわ」
「あれで動いていないと、熱帯の林のようなんだけれどね。しかし林ではない。林はしずかなところだ。彼らは、それとはちがって、気が変になったように踊っている。いや、こっちへおしよせてくる。気持が悪いね」
ヒトミは、いつとなく東助の方へからだをよせて、手をしっかりにぎっていた。
彼らの姿が二人の方に近くなるにしたがって、彼らのいきおいのはげしさにおどろかされた。彼らは洪水《こうずい》のように、こっちへおしよせてくる。
その間にも、東助は彼らの正体をつかもうとして一生けんめ
前へ
次へ
全126ページ中20ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング