びだした。雷鳴のような音、息ぐるしさ。それらは前と同じようであった。
が、急にあたりが明るくなった。
太陽が頭上にかんかんとかがやいている。涼しいそよ風がふいてくる。見ると一面の砂漠であった。
ふりかえると、この前、地下室で見たと同じ形の小さい樽が一つ、砂の上にあった。そして白い煙をはいていた。この小さい樽の中からでてきたのかと思うと、ふしぎでならない東助とヒトミだった。
「ここはどこですか。どこに、おもしろいものがあるんですか」
「まだ気がつきましぇんか。あそこをごらんなさい」
博士が地平線をゆびさした。
東助とヒトミは、ゆびさされた方を見た。が、見る見る二人の顔におどろきの色がうかんだ。
緑色の怪物
地平線のかなたに、何が見えたか。
はじめは、地平線の上に、緑色の海があって、波が立っているように思われた。が、すぐそれはまちがいであると分った。地平線の上を、緑色のあやしい姿をした怪物が、さかんに踊りまわっているのであった。
それは、おそろしいほどたくさんの集団に見えた。
「なんでしょう、あれは……」
「こっちへくるわ。いやあねえ」
「なんですか、あれは。
前へ
次へ
全126ページ中19ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング