くんですから、動くものは動物です」
ヒトミが自信をもっていった。
「そうでしょうか」と博士はいった。
「ではもう一つだけたずねます。地球の上で、感覚をもっているものは何でしょうか。いきたいと思った方へいったり、寒くなれば寒さにたえるように用心したり、おいしい空気をすったり、のみたければどんどん水をのんだりもする。それは何でしょうか」
「それは動物です」
「あたしもそう思います。動物です」
二人は答えた。それにきまっているからだ。
「そうでしょうか」
と、博士は、こんども疑いのことばで答えた。
なぜ、そんなにわかりきったことを疑うのですか。――と、東助もヒトミも博士にききかえしたいくらいだった。
「世界は動物のもの。地球の上で動くのは動物。感覚があり、したいことをするのも、また動物。あなたがた、そういいましたね。――よくこのことをおぼえていて下さい。あとになって、私はもう一度、あなたがたに、同じことをたずねます」
博士は、なぞのようなことをいった。
「話をしているうちに、もうきました。そのふしぎな国へ下りていきます。ちょっと目まいがするかもしれましぇん。すこしですから、がまんす
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