ました。ここには小房《しょうぼう》が、いくつか並んでいる。こっちへ来てください。ここへ入りましょう。はいったら入口のカーテンを引きます。さあ、椅子に腰をおかけなさい。そして、両手でこの大きな円卓子《まるテーブル》を、しっかりと抑《おさ》えていてください。しっかりつかまっていないと、あとで舌を噛《か》んだり、ひっくりかえって腰をうったりしますよ。はい、今うごきます。秘密の釦《ボタン》を今押しましたから。そら床もろとも、下《お》りだしたでしょう。しっかり卓子につかまっていなさいといったのは、ここなんだ。そうです、この小室《しょうしつ》全体が、エレベーター仕掛《じかけ》になっているのです。床も天井も壁も、一緒に落ちていくのです。もう今はたいへんなスピードで落ちていますよ。なにしろ、これがエレベーターなら、地階三十階ぐらいに相当する下まで下りるのです。なにしろ、地面から測って、二百メートルもあるそうですからね。
爆撃《ばくげき》をさけるためですかって。もちろんそれもありましょうが、もう一つの理由は、金博士は宇宙線を極度《きょくど》に避《さ》けて生活していられるのです。あの宇宙線なるものは、二
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