六時中、どんな人間の身体でも、刺《さ》し貫《つらぬ》いているので……」
話の途中に、エレベーターは停《とま》った。
私は客人の手をとって、エレベーターを出ると、しばらくは真の闇《やみ》の中の通路を、手さぐりで歩いていった。
二百メートルばかり歩いたところで、通路は行き停りとなる。そこで私は、今切り取ったばかりのような土の壁を、ととんとんと叩いた。すると、ぎーいと音がして、私たちは眩《まぶ》しい光の中に、放り出された。
そういう段取《だんどり》になれば、私は間違《まちがい》なく、闇の迷路《めいろ》をうまく選《よ》り通ってきたことになるのである。下手をやれば、いつまでたっても、この光の壁にぶつからないで、しまいには、進むことも戻ることもならず、腹が減って、頭がふらふらになる。
私は、はげしい目まいをおさえて、しばらく強い光の中に、うつ伏《ぶ》していた。土竜《もぐら》ならずとも、この光線浴《こうせんよく》には参る。これも博士の警戒手段の一つである。
私は、ようやく光になれて、顔をあげることが出来た。
「やあ金博士。とつぜんでしたが、ロッセ氏を案内して、お邪魔《じゃま》に参《まい》
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