から、博士がうんといえば、あなたの設計した電気砲も、博士の秘密工場の手で実際に作ってくれるだろう。そうすれば、あなたの念願している英艦隊《えいかんたい》の撃滅《げきめつ》のことも――」
「いや、博士は、初速の速い電気砲が気に入らないらしい。むしろ、速度の遅い、そして射程の長い砲弾を考え出せといわれたが、僕には、何のことだか分らないのだ。なぜなら、速度を遅くすることと、射程を長く伸ばすこととは、互いに相《あい》傷《きず》つける条件なんだからねえ」
「うむ、まるで謎々《なぞなぞ》だね」
「そうだ、謎々だ。それも解答のない謎々を出題されたような気がする。博士は、ひょっとしたら、僕をからかったのかもしれない」
「そんなことはないよ。博士は、からかうなんて、そんな人のわるいことはしない。ああまで真剣で、大真面目《おおまじめ》なんだ。謎々をかけたにしても、博士は必ずその解答のあることを確《たしか》めてあるのだと思う」
「そうかなあ。速度の遅くて、射程の長い、そして命中率百パーセントの砲弾! そんなおそろしいものが、この世の中にあるとは、どうしても思われないが……いや、僕たちは、既成《きせい》科学に
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