の友人に当る某医学博士を訪ねて聞いて見ましたところが、簡単にその問題を解決して呉れたのです。「いや君、あの男は最初から発狂して居ったのだよ」(笑声)。「だって先生、科学的には非常に信用が置けるし、言うことも普通であるし、友誼《ゆうぎ》も潔癖《けっぺき》であるほど厚いし、殊《こと》に細君のことなど潔癖で、細君が死んでから他の女には絶対に接しなかったという程の人格者としては訝《おか》しいですが」「いや、それが訝しくない。そういう立派な人に能《よ》く狂人がある」という話でした。
 そのインチキ心霊研究会が後になりまして、非常に功名を立てたという話があります。つまり毒を以て毒を制した話です。
 丁度今頃の初夏時《しょかどき》でした。私の所へ九州から訪問客がありました。「是非一つ先生に助けて戴きたい」と、私が先生になったんですが、「実は、先生がこの前お書きなった[#「お書きなった」はママ]電波病というのに罹《かか》りまして、電波が聴《きこ》えて仕様がない。現に先生の前に坐って居りますが、私の所へ電波が掛って居るのが能く聴えます。さかんに只今やって居ります。そのために私は失業しました。そうして身体
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