で、そのチーちゃんのお母さん、つまり死んだ細君の伯母さんに当る人に出会ったので、「あの友人の細君があなたの娘さんのチーちゃんに合《あ》いたい、成《な》るたけ早く来て呉れと言って居りましたよ」と言ったんです。そうしたら伯母さんが怪訝《けげん》な顔をして、「それは訝《おか》しい。チーちゃんというのは私の家の娘ではありません。あの子の真実《ほんとう》の妹でございますよ」と言った。つまり死んだ細君は、自分の妹のことを伯母さんの子供みたいに思っていた訳です。其処も非常に間違って居る。
そんな点からして、この霊媒は非常なインチキであるということが判ったんです。しかもそんなインチキな霊媒の所に、吾々が科学的に非常に信用していた友達が、前後六十回も通ってインチキたることが判らなかったのは何故であるかというので、俄然《がぜん》私は大なる疑問に打突《ぶつ》かったんです。同時に又インチキであるが故《ゆえ》に、当初これは未来の世界があると面白いなという科学の問題に対する楽しみがあったんですが、霊媒を通じて見ると、それもインチキであるということが判って、淋しがったり苦しがったりしたものです。
そこでその友達
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