も尚《なお》この作について自信を持っている。
『らんぷや御難《ごなん》』は「拓《ひら》けゆく電気」に書いたもの。これは卑近《ひきん》な生活の中に、科学を織りこんだもので、これまた一つの型だと思っている。
『百年後の世界』はAKから「子供の時間」に全国中継で放送したものの原稿である。空想に終始したものであって、荒唐無稽《こうとうむけい》であることはいうまでもないが、科学に趣味を持つ者にとって、このような表題について想を練《ね》ることは殊《こと》の外《ほか》愉快なものである。これは「子供の時間」である。が早く「演芸放送」の時間に堂々と科学小説が打って出る日が来てもいいと思う。このときに、音響効果を適当にやれば、普通のドラマでは到底《とうてい》出せないような新しい感覚的な娯楽放送を聴取者のラウドスピーカーに送ることが出来ように思っている。
『流線|間諜《スパイ》』は「つはもの」に連載されたスパイ小説である。この小説のテーマは、結局科学小説なのであるが、それをたいへん自慢にしていたところ、後から人の話では、これと同じことを実際ソ連の或る学者が計画しているというニュースが出ていたという話であって
前へ 次へ
全13ページ中8ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング