なったから」
「えっ、いよいよ○○獣が捕虜になったんですか」
博士の云うとおり、○○獣の落ちた穴の中からは、最前までゆうゆうと立ち昇《のぼ》っていた白気《はっき》は見えなくなっていた。
博士は穴の方へ飛びだしていった。
「おおい、皆こっちへ集ってくれ。○○獣を掘りだすんだ」
さあ、いよいよ問題の○○獣を掘り出すことになった。消防隊はシャベルや鶴嘴《つるはし》をもって、穴のまわりに集ってきた。蒸気で動くハンマーも、レールの上を動いてきた。
がんがんどすんどすんと、○○獣の埋《うず》まっている周囲が掘り下げられていった。セメントはもはや硬く固っていた。
やがて掘りだされたのは、背の高い水槽《タンク》ほどもあるセメントの円柱だった。
「うむ、うまくいった。この中に○○獣がいるんだ。よかったよかった」
と蟹寺博士はもみ手をしながら、そのまわりをぐるぐると歩きまわる。
警備の隊員も見物人も、ざわざわとざわめいたが、折角の○○獣も、セメントの壁に距《へだ》てられて見えないのが物足りなさそうであった。
「博士《せんせい》。○○獣はセメントで固めたまま抛《ほう》って置くのですか」
「うん
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