ェでもなるべく早くこのような状態から脱却したいと考えているのだが、あせッてみたところで仕方がないと思っている。これは自分の精神病がまだ充分に回復していない証拠だともいえる。健康でエネルギイがありあまっていればまさかこんなことはあるまいと思われる。さて、いつまでこんな愚痴を並べても読む人もつまらんし、自分も一向に面白くないのだが、「心境」を正直にさらけ出せばこんなことになるので、初めから気乗りがないのだが、強いて書かせられているのだからいたしかたがない。たまに元気が出たかと思うと、気が狂っていたりしたのでは、実際助からない。
話はちがうが、人間というものはいつでも真理とか真実とかいうものを求めているようなことを昔から度々口にしているようだが、どうも一向あてにはならん。実際、真理とか真実というものはあまりに平凡で日常目の前に腐る程ころがっているので、人は最早それには見向きもせず、あり得ないなにか珍らしく新しいものを探しまわっているらしいが、そんなもののないこともあまりに当然で、よしそれが新しく珍らしく僅かの間見えるにしても元々種は同じ外見だけが一寸そんな風に見えるだけなのであるから、すぐと
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