ういうおばあさんの声を聞いたのは、やがてお民が妻籠を辞し去ろうとする四日目の朝である。たとい今度の里帰りには、娘お粂のことについてわざわざ来たほどのよい知恵も得られず、相談らしい相談もまとまらずじまいではあっても、無事でいるおばあさんたちの顔を見て慰められたり励まされたりしたというだけにも彼女は満足しようとした。
そこへお里も来て、
「お民さん、まだお粂の御祝言《ごしゅうげん》までには間もあることですから、気に入った着物でも造ってくれて、様子をごらんなさるさ。」
「そうだとも。」とおばあさんも言う。
「そのうちにはお粂の気も変わりますよ。」とまたお里がなんとなく夫寿平次に似て来たような冷静なところを見せて言った。「いくら読み書きの好きな娘だって、十八やそこいらで、そうはっきりした考えのあるもんじゃありませんよ。」
「お里の言うとおりさ。好きな小袖《こそで》でも造ってくれてごらん。それが何よりだよ。わたしたちの娘の時分には、お前、自分の箪笥《たんす》ができるのを何よりの楽しみにして、みんな他《よそ》へ嫁《かたづ》いたくらいだからねえ。」
とおばあさんも言葉を添えた。子から孫の代を見て
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