人として扱われていたものまで、大手を振って歩かれる時節が到来した。新たに平民と呼ばれて雀躍《こおどり》するものもある。その仲間入りがまことに許されるなら、貸した金ぐらいは棒引きにすると言って、涙を流してよろこぶものがある。洪水《こうずい》のようにあふれて来たこの勢いを今は何者もはばみ止めることができない。武家の時が過ぎて、一切の封建的なものが総崩《そうくず》れに崩れて行くような時がそれにかわって来た。
本陣、脇《わき》本陣、今は共にない。大前《おおまえ》、小前《こまえ》なぞの家筋による区別も、もうない。役筋《やくすじ》ととなえて村役人を勤める習慣も廃された。庄屋《しょうや》、名主《なぬし》、年寄《としより》、組頭《くみがしら》、すべて廃止となった。享保《きょうほう》以来、宿村の庄屋一人につき玄米五石をあてがわれたが、それも前年度(明治五年)までで打ち切りとした。庄屋名主らは戸長、副戸長と改称され、土地人民に関することはすべてその取り扱いに変わり、輸送に関することは陸運会社の取り扱いに変わった。人馬の継立《つぎた》て、継立てで、多年|助郷《すけごう》村民を苦しめた労役の問題も、その
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