は、記念の食事に招かれて来た村の人たちが並んで膳についている。寿平次はそれを見渡しながら、箸《はし》休めの茄子《なす》の芥子《からし》あえも精進料理らしいのをセカセカと食った。猪口《ちょく》の白《しら》あえ、椀《わん》の豆腐のあんかけ、皿《さら》の玉子焼き、いずれも吉左衛門の時代から家に残った器《うつわ》に盛られたのが、勝手の方から順にそこへ運ばれて来た。小芋《こいも》、椎茸《しいたけ》、蓮《はす》の根などのうま煮の付け合わせも客の膳に上った。
 あちこちと半蔵が盃を受けて回るうちに、ふと屋外にふりそそぐ雨の音が耳についた。秋の立つというころの通り雨が庭へ来る音だ。やがてその音の降りやむころには、彼は大工の前へも盃を受けに行き、髪結いの直次の前へも受けに行った。
「おれにも盃をくれるかなし。」
 と子息《むすこ》の代理に来たお虎《とら》婆さんがそこへすわり直して言った。先祖の代から本陣に出入りする百姓の家のものだ。
「半蔵さま、お前さまの前ですが、大旦那はこういうお客をするのが好きな人で、村のものを集めてはよくお酒盛りよなし。ほんとに、大旦那は気の大きな人だった。」
 とお虎が言う。そ
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